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エコライフ実現とか光熱費の大幅な削減、売電収入など、ソーラーパネルを設置することで想像できる「メリット」ってたくさんありますよね。
しかし、物事には必ず「メリット」と「デメリット」が存在するもの。
なかなか想像ができないかもしれない「ソーラーパネル設置にまつわるデメリット」を今回は掘り下げていきます。
ソーラーパネル設置にかかわる「デメリット・リスク」
1…設置費用の問題
ソーラーパネルを設置すれば、売電収入で家計が楽になりますよ!とか、家で使うほとんどの電力を自家発電で賄えるので、電気代がほぼ¥0になる!というのはよく聞く話です。
ただ、そうしたメリットを得るにも、先ずは「ソーラーパネルを設置」しないと話は始まりません。
そして、ソーラーパネルの設置には(下がってきているとはいえ)かなりの初期投資費用がかかります。
新築の家であれば、思い切ってソーラーパネルを付けてしまうこともできますが、既存の家であれば、しっかり計画を立ててソーラーパネルを設置しないと、家族に対する出費が重なりそうな時期にパネルを設置すると、ちょっと家計が苦しい!という時期がないとも言えません。
現在、人気ソーラーパネルメーカーのパネル価格は、26万〜35万弱(1kWあたり)というところを推移しています。
設置全体を考えると、新築で150万円前後、既存の家で180万円前後が費用相場と言われています。
この価格は、ソーラーパネルの設置熱が高まり始めた2000年代初頭と比較すると随分と安くなっています。
当初は一般住宅用でもソーラーパネルの設置に200万円を超えることは珍しくありませんでしたからね。
しかし、いくら安くなっていても、フル装備の軽自動車を購入するくらいの費用はかかるので、売電収入との折り合いをつけて、上手に支払計画を立てなければ、ソーラーパネルの費用を支払い終るまで、家計全体の収支はとんとん、もしくはややマイナスなんてことにもなりかねません。
通常は、ソーラーパネル設置の費用は5〜10年で返済可能(もしくは元が取れる)と言われています。
せっかくソーラーパネルを設置して光熱費カットの快適生活を夢見ているのであれば、お金の計算・計画はしっかりと立てることが重要です。
2…メンテナンスのことを忘れがち
ソーラーパネルを設置した人の多くが忘れがちなのが、ソーラーパネルにも「メンテナンス」が必要ということです。
では、ソーラーパネルのメンテナンスにはどんなことをするのでしょうか?またメンテナンスに費用はかかるのでしょうか?
ソーラーパネルのメンテナンスとは
★ソーラーパネルと周辺機器の耐用年数など
ソーラーパネルそのものの耐用年数は15年程度と設定されています。
つまり、15年程度で色々とガタがでてくることがあったり、物や状態によっては取り換えが必要になったりすることも考えなければならないということです。
またソーラーパネルを設置した際に一緒に取り付けているパワーコンディショナーも、10年ほどが寿命と言われているので、その交換も必要になります。
パワーコンディショナーの交換には20〜30万円程度の費用がかかるのが「現在」の事情なので、そのことは念頭に置いておかなければなりません。
(この先、業界の事情やソーラーパネルの設置が常識となってきたら、こうした費用ももっと安くなるかもしれません)
★ソーラーパネルに汚れは天敵?!
そもそもソーラーパネルは外部に設置して雨風にさらされることが前提で作られている機器なので、水や汚れで早々故障をすることはありません。
しかし、故障はしなくても、ひどい汚れが付いてしまった時は、太陽光を充分採光できずに発電量が落ちることもあります。
また、鳥のフンなどの付着物をそのままにしてしまうと、その部分だけ高温になってしまう「ホットスポット現象」が起こることがあります。
現在のソーラーパネルでは、そうしたホットスポットを回避できるような部品がついていることが普通ですが、それでも何かの「万が一」が重なってホットスポットが起き、ソーラーパネルが不具合を起こしていると、最悪の場合、火災が発生することもあるのでソーラーパネルの汚れには要注意です。
こうした危険を回避するためにも、ソーラーパネルの点検は欠かせないものなのです。
★日々のモニターチェック
ソーラーパネルを設置すると、パネルがどのくらい発電しているかなどを見ることのできる液晶パネルが設置されます。
このパネルのチェックをマメにすることが実は大切。
もしソーラーパネルに不具合が生じていて、普段よりも発電量が下がっていたとしても、「通常の発電量はどのくらいか」を知らないと異常に気付けない可能性がありますからね。
メーカーが行ってくれる定期点検も、面倒くさがらずにきちんと受けることも、ソーラーパネルを効率よく、長く上手に使うコツです。
きちんと定期点検を受けていれば、保証期間内で無料で修理が受けられたのに、そうしたことを怠っていて、結局かなり状態が悪くなってから、高い費用をかけて修理をしなければならなくなったら、何のためにソーラーパネルを設置したのかわからないですよね。
ちなみに…自治体から受けた補助金のなかには、毎月の発電量を半年ごとに報告する必要があるものもあります(設置後1年間)。
こうした点からも、発電量のモニターはマメにチェックする習慣をつけることが大事なのです。
3…発電量にまつわること
日本の国における47都道府県で、日照時間が多い県はどこだと思いますか?
日照時間が多いということは暑い地方かな?ということで、沖縄や九州を思い浮かべる人も多いかもしれませんよね。
しかし、実は日本の中で日照時間が長い都道府県と言うのは山梨県・静岡県・埼玉県・群馬県・茨城県といった地域です。ちょっと意外な感じがしますよね。
逆に日照時間が少ない都道府県は長崎県・秋田県・青森県・山形県・沖縄県などです。
東北地方は積雪時期も長いため、イメージがあるかもしれませんが、沖縄や長崎は実際の日照時間が長くないというイメージとは裏腹な結果がでているのです。
ちなみに全国の日照時間の平均は1,930時間弱で、一番に長い日照時間は2,360時間弱、一番短い日照時間は1,540時間弱と、その差はなんと800時間もあるのです!
(1日あたりで2時間程度、日照時間に差があることになります。)
ソーラーパネルを設置して太陽光発電をしたい!ということは、少なくとも太陽光がパネルに充分当たる必要があるので、日照時間や家がある場所の日照の程度はとても重要になります。
もし色々な建物の陰になりやすいという立地であれば、パネルの設置の方法に工夫が必要になってくるでしょうし、やたら曇りが多い地域であるならば、どの程度使用することでソーラーパネル設置費用の元が採れるかなどをしっかり試算しなければ「こんなはずじゃなかった…」ということにもなり兼ねません。
また、設置する地域により、雪害でパネルが雪に覆われ採光できない・異常な低温にさらされる、逆に異常な高温にさらされて発電効率が落ちる、塩害でパネルの耐用年数が平均より短くなりやすいなどのリスクも考えておく必要があります。
4…ソーラーパネルの設置は本当にエコか?
ソーラーパネルを設置して、太陽光というエネルギーで発電をすることは一見とてもエコなことに思えますし、この部分だけをピックアップすればもちろんエコであることに違いはありません。
しかし、部分的にエコであっても全体的に見れば「それはエコなのか?」ということがあるものなのです。
例えばソーラーパネルを作るために新規で大型の「半導体工場」や「パネル工場」を建設する場合、その建設場所によってはその場所の環境を破壊しているかもしれません。
また工場を稼働させるためには「大量の電力」を必要としますが、工場を安定して稼働させるための電力を、ソーラーパネルだけでは作れないので、工場は火力や原子力から生み出された電力を使用することになります。
消費者としては「安く質のイイ」ソーラーパネルを手に入れたいですが、そうするためには企業は様々な部分でコストの削減や設備投資を行う必要があるわけで、1つの家庭がソーラーパネルを設置してエコライフを送るために、その裏でどれだけの非エコが生まれているかはわからないのです。
ただ、こうしたことを個人が深く追求しても、簡単に答えはでてきません。
確かな事として言えるのは、「各個人の家庭」という部分だけで捉え、また設置されたソーラーパネルで太陽光発電をする、その電力で自宅の電気を賄うという部分だけを見れば、それは今までよりもエコであるということのみなのです。