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各家庭がソーラーパネルを設置しようとする理由は、それぞれの家庭で千差万別だと思います。
ただ、やはり「どうせ結構な費用をかけて設置するなら『売電』で得したいな…」という人は多いはず。
光熱費の節約だけでなく、うまくいけばソーラーパネルの設置費用さえ数年でもとをとれてしまうかもしれない「売電」。
どうすれば賢くソーラーパネルを設置・利用することができるのでしょうか?
ちょっと意外な「売電」事情
ソーラーパネルの設置で楽しみなのは、今までのように電力会社から「買電」していた費用がなくなり、先ずは光熱費がぐ~んと下がることですよね。
色々と支出の多くなっている(でも収入が増えるばかりではない)現代において、この「買電費用」がなくなる(もしくはかなりカットできる)というのは本当に嬉しいことです。
それに加えて、上手に発電ができていれば、余剰の電力を「売電」できるのが現代です。
太陽光発電が一般家庭へもブーム化していったのは2009年11月から「余剰電力買取制度」が始まったことに端を発しています。
この制度のおかげで、余剰電力を各家庭の契約している電力会社へ売ることができるようになり、「太陽光発電の余剰電力でお得なことが!」という世の中の雰囲気が高まったのですね。
その後、制度は2012年7月に施行された「固定価格買取制度」によってさらに拡大し、ソーラーパネル設置ブームは国や地方自治体による「導入補助金制度」などによりピークを迎えることとなったのです。
ちなみに、売電価格(電力買取価格)の推移を見てみると…
- 2009年度…48円/kWh
- 2010年度…48円/kWh
- 2011年度…42円/kWh
- 2012年度…42円/kWh
- 2013年度…38円/kWh
- 2014年度…37円/kWh
となっているのです。すると、ここで気づくことがありますよね?そう、実は売電価格と言うのは、2010年度の48円/kWhをピークに、ここ数年下がり続けているのです!!
先ほどご紹介した2009年11月から始まった「余剰電力買取制度」でブームを迎えたソーラーパネル設置ですが、2011年8月に再生エネルギー買取法案というものが国会で可決をしてから、
売電価格は下がるようになってしまったのです。
ただ、売電価格が年々下がっていると言っても、ソーラーパネルを設置した方が色々とお得なことに変わりはありません。
けれども、今年、2015年度というのは、ソーラーパネル(太陽光発電)業界では、以前から「2015年危機」と言われている年なのです…それはなぜでしょうか?
ソーラーパネル業界の「2015年危機」って何?
まずはここまでの売電に関する法案や売電事情などを時系列にまとめておきたいと思います。
- 2008年まで…買取価格の設定はナシ、多くの電力会社で「買電価格と売電価格」となっていました。
- 2009年11月…「余剰電力買取制度」開始、ソーラーパネルの設置がブームに。ただしまだ設置費用はかなり高かったですね。
- 2010年…売電価格がピーク値の42円になりました。
- 2011年8月…再生エネルギー買取法案が国会で可決されました。売電価格は下がるようになりました。
- 2012年7月…「固定価格買取制度」が施行されました。売電の気運が拡大しました。
こういう流れを頭に置きつつ、ここからの記事を読んでいただけると、流れをつかみやすいかと思います。
さて、前項でも、すぐ上記でも述べました2012年7月に施行の「固定価格買取制度」、実はこれ、ちょっとした条件が付いていたのです。
それは「施行後3年間は再生可能エネルギー電気供給者の利潤に特に配慮する」という基本方針。
ここで言うところの「再生可能エネルギー電気供給者」とはつまりソーラーパネルで発電を行う各世帯のことを指しています。
つまり、この基本方針というのは「2012年から3年間は、太陽光発電の電力を供給する人がお得になるように配慮しますよ~」ということだったのです。
そうであったにも関わらず、売電価格は2012年~2014年の間に5円/kWhも下がってしまいました。
あれ?供給者の利潤に配慮するはずじゃ?という感じですよね。
基本方針があって尚、下がってしまった売電価格なので、この基本方針の期間がきれる2015年からは、さらに売電価格が下がるのでは…?と懸念されているわけです。
太陽光発電で売電してお得感を味わいたい!と思っていた人にとっては、そうした期待感が薄れる感じは確かにしますよね。
しかしながら、この基本方針のお得プレミア期間が過ぎたからと言って、本当に売電の価値やお得感は下がってしまうのでしょうか?
「固定価格買取制度」があるので!
ここまでご紹介してきた「固定価格買取制度」ですが、この制度には、前項の基本方針以外に、消費者にとって大変重要な決まりがあるのです。
それは、「ソーラーパネルの設置年度以降10年間は、政府の売電価格保障がある」ということです。
確かに売電価格と言うのは年々下がってはいるのですが、2014年度(2015年3月末まで)中にソーラーパネルを設置すれば、37円/kWhでの買い取りが10年間は保障されるわけです。
(これが2013年度だったら、38円/kWhだったということになります)
2015年度(2015年4月~)に設置した場合は、まだ売電価格が決定されていないので、買取保障額はいくらかわかりません。
昨今の流れで言うと、2015年度は昨年度よりさらに1~2円、売電価格が下がることも予想されるので、ソーラーパネルを設置するなら、早いに越した事はないのです。
また、売電価格が下がっているという、消費者にとってちょっとがっかりな面だけでなく、ソーラーパネルについては、設置価格がそもそも下がっているという消費者にとってかなり大きいメリットもあります。
設置費用の推移をみてみると、容量1kw当たりの設置費用は…
- 2009年度…約60万円
- 2010年度…約57万円
- 2011年度…約52万円
- 2012年度…約49万円
- 2013年度…約45万円
- 2014年度…約39万円
となっています。売電価格がピークだった2010年度と比較しても、2014年度は18万円/1kwも設置費用が下がっているのです。
これは、比率で言うと、2010年度は2014年度に比べて、設置費用は約1.4倍、売電価格は約1.1倍だったことになります。
これだけを見ると、これから設置した方が、設置費用がかなり抑えられる分、お得感は強いかもしれません。
これらを踏まえると、たとえ売電価格が下がっていたとしても、そもそもの設置価格が下がっているため、結局5~10年で設置費用の元が取れるというのは、2010年に設置した人も、2014年に設置した人も変わらないということになるのです。
最後に…設置費用と売電で元が取れる関係を図と簡単な計算でご説明したいと思います。
例)
- 2014年度にソーラーパネルを設置した人
- (設置費用)○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○→(○20個分の価格)
(売電価格)○○○→(○3個分の価格)
(何年で元が取れる?)→設置費用(○20個)に対して、年間の売電総額が(○3個)なので、元が取れるのは6年強という計算になります。 - 2010年度にソーラーパネルを設置した人
- (設置費用)○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○→(○28個分の価格=設置価格は2014年度の1.4倍だった)
(売電価格)○○○+0.3→(○3.3個分の価格=売電価格は2014年度の1.1倍)
(何年で元が取れる?)→設置費用(○28個)に対して、年間の売電総額が(○3.3個)なので、元が取れるのは8年半という計算になります。
結論:この計算だけで単純比較すると、今から設置をした方が、売電価格はピーク時より安くても、2010年度に設置した人より早い年数で初期投資費用が回収できる計算になりますね。