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ソーラーパネルを設置するにあたって、つい忘れがちになることに「税金」があります。
売電を効率的にしようとしている人は、売電で得た収入をパネルの設置費用と相殺して、ローンの返済に充てることも考えているかもしれませんよね。
ただ、ここで挙げた通り、売電で得るお金は「収入=所得」なので、申告が必要になることもあるのです。
今回はこんな「ソーラーパネルの設置で見えてくる諸々の税金についてご紹介します。
ソーラーパネルの設置の際にかかる税金
ソーラーパネルを設置しようとすると、まずはソーラーパネルを購入するところから話は始まりますよね。
購入ということは、ここにはまず「消費税」がかかってきます。2014年から消費税は8%に上がりましたので、同じ価格のものなら、5%の時の方が安かったのは事実です。
ただ、実は上がった消費税分以上に、ソーラーパネルの値段は下がっているので、全体として支払う価格は、消費税増税前より低くなっている場合が多いですね。
そして、ソーラーパネルの設置の際にかかる税金というのは、この消費税くらいで、車のように重量税がかかるとか、土地を買った時のように不動産所得税がかかるというようなことはありません。
ソーラーパネル設置後に考えることになる税金
固定資産税
ソーラーパネルを設置すると、個人の家であっても資産価値が上がるとみなされるので、固定資産税が上がることがあります。
家のリフォームだとか、増築などをした場合と同様に、固定資産税が今までより上がるのですね。
この「ソーラーパネルと固定資産税」については、別のページで改めて詳しく解説したいと思います。
雑所得による所得税
ソーラーパネルを設置した人の多くが夢見ている「売電での家計収入のアップ」。
うまくいけば5年程度で設置にかかった費用の元が取れ、家のほとんどの電気を太陽光発電で賄え、しかも売電ができて家の総所得をアップさせることができます。
そうなると、上がった分の収入で家族で旅行に行きたいとか、ちょっとお高めで手が出なかった新車への買い替えをしようかな等など夢は膨らんでいきます。
確かに売電の収入というのは、そうしたことを夢見たくなるほど手に入ることもあるのですが、収入が上がるということを税務署は見逃しません(笑)
そう、所得が上がれば、それだけ所得税も上がってくるということなのです。
では、売電による所得にかかる税金について、次の項で詳細に解説したいと思います。
売電の所得は「雑所得」扱いになる
一家の働き手がみんなサラリーマンであった場合、源泉徴収とか年末調整とか、所得に関する税金については大体が企業の方で済ませてくれます。
しかし、サラリーマンの所得が本収入以外で20万円以上になった場合は、自分で確定申告をする必要があるのです。
売電での収入は、電力会社と契約をしている人に入ってくることになるので、多くの場合は世帯主の名前=売電収入がある人となるでしょう。
この売電収入が年間で20万円を超えるのであれば、毎年2~3月にある「確定申告」で申告をする必要が出てきます。
(ただ、売電収入は20万円以下であっても、本収入以外…例えば株やFXでの収入と合わせると20万円を超えるという時は確定申告が必要ですよ)
え~せっかくの売電収入なのに、こんなところにも税金がかかるのかぁ~とちょっとがっかりする人がいるかもしれませんが、実は、家庭での売電収入程度の額であれば、実際には税金が控除されることも多いのです。
これは申告と経費の関係から言えることになるのですが、収入についての申告をする時は「その収入を上げるために使用した経費」を収入から差し引くことが認められるからです。
ソーラーパネルについては、初期投資費用(設置にかかった費用ですね)を平均的な耐用年数で割るなどした「減価償却費」が毎年の費用として認められるのですね。
ですから、たとえ売電額が年間で25万円くらいになっていたとしても、課税対象となる所得の金額と言うのは下がってくることが多いのです。
ただ、この経費を差し引いたとしても本収入以外の総額が課税対象額である20万円を超えるという人は、それらを雑所得として申告することが義務付けられています。
売電による雑所得を計算してみよう!
太陽光発電による売電が広がるようになって、国税庁のHP中の質疑応答事例にも、売電額への課税についての記述が見られるようになりました。
国税庁のHPには、「売電収入から必要経費を引いた残りが雑所得に該当」という旨と、そうした雑所得が課税対象になることの明記がされています。
それでは、具体的な事例をもとに、売電収入の課税対象額を計算していきたいと思います。
現在のところ、国税局が定める太陽光発電の法定耐用年数は17年となっています。
ソーラーパネルの設備は計算上「機械装置」に分類されていて、上記のような耐用年数となっているのです。
(ちょっと詳しく解説すると機械装置の耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当しています。しっかり省令を確認しておきたい!という人はこの省令を検索すると詳しく見ることができますよ。
そして、減価償却資産の耐用年数が17年ということは、定額法の償却率と言うのは「0.059」となります。
その年の減価償却費(簡単にいうとソーラーパネルにかかったその年の経費)を計算するには次の式を利用します。
太陽光発電設備の減価償却費 = 太陽光発電設備の取得費 × 0.059 × 申告年中の償却期間
また、上記の式の「申告年中の償却期間」というのは、1年を通して使用したなら12ヶ月/12ヶ月、その年の5月にソーラーパネルを設置したとすると8か月/12ヶ月を利用したということになります。
これらを使って計算をすると…
申告をする年の5月にソーラーパネルを設置した場合
太陽光発電設備の減価償却費 = 1,500,000 × 0.059 × 8/12 = 59,029
※ちなみに初期投資費用は「太陽光発電設備の購入費」から「太陽光発電設備の購入にあたり補助金等で補てんされた金額」を差し引いた額です。
つまり、この場合は売電の総価格から59,029円を差し引けるのです。
売電総額が20万円あっても、200,000 – 59,029 = 14,971円で、売電のみの雑所得では課税対象額には届きません。
1年を通してパネルを使用していた場合
太陽光発電設備の減価償却費 = 1,500,000 × 0.059 × 12/12 = 88,500
この場合だと、年間の売電総額から88,500円を差し引けます。
この場合だと、年間の売電総額がたとえ25万円を超えていても、250,000 – 88,500 = 161,500円となり、こちらも売電のみの雑所得は課税対象額には届きません。
実際には、一般家庭での売電収入は年間で20万円前後と言われているので、ほとんどの家庭では確定申告したとしても、売電収入が雑所得の課税対象にはならないと言われています。
個人事業主の人が受けられるグリーン投資減税とは?
毎年青色申告をしている個人や法人については、ソーラーパネルなどのグリーン投資減税体操設備を取得し、かつ1年以内に事業のことで用いた場合、グリーン投資減税の対象となります。
これは、設備の取得価格の30%の特別償却(一部の対象設備は即時償却)、または7%の税額控除(こちらは中小企業者のみですが)のいずれかを選んで税制優遇が受けられるというものです。
今のところ、平成25(2013)年4月1日~平成28年(2016)年3月31日までの期間内に設備を取得して、取得日から1年以内に事業のために設備を使用したという場合となっています。
太陽光発電設備については特に、平成27(2015)年3月31日までの期間内の取得と、その日から1年以内の使用開始で即時償却をすることが可能です。
- 青色申告をしている法人または個人:システム取得価格の全額を償却(100%償却か即時償却)できる特別償却が可
- 青色申告をしている法人または個人:普通償却に加え、システム取得額の30%相当額を限度として償却できる特別償却が可
- 青色申告をしている中小企業者に限り:設備取得の7%相当額の税額控除
青色申告をしている人について、グリーン投資減税についてまとめると上記のようになっていますよ。
対象設備の詳細については資源エネルギー庁のHPから、グリーン投資減税の対象設備一覧で確認できます
ひきつづき税金について、次のページでは固定資産税の増額について紹介いたします。